抗うつ剤の飲み方は頓服?毎日?

抗うつ剤の飲み方は頓服?毎日?

前回は、抗うつ剤の大まかな効果について紹介しました。
脳内にあるセロトニンやノルアドレナリンといった物質のバランスを、抗うつ剤で整えるというお話でしたね。
実はドパミンにも作用するお薬があるのですが、それはまた別の機会に紹介します。

さて、いきなり話は変わりますがお薬を服用する際の内服と頓用の違いを知っていますか?

内服は毎日飲み、頓用(または頓服)は症状が起きる時に飲みます。

では抗うつ剤はどちらの手法で飲むのでしょうか?

本記事では、知っているようで知らない抗うつ剤の飲み方について紹介します。

「毎日飲む」がセオリー

毎日飲む

抗うつ剤は、基本的に毎日飲むお薬です。
つまり内服ですね。

種類によっても異なりますが、1日1~2回、夕食後や眠る前というように飲む回数や飲むタイミングも指定されて処方されます。
抗うつ剤を毎日飲む理由は、単純に抗うつ剤は即効性に欠けるお薬だからです。

最短でもNaSSAという種類のお薬が飲み始めて4日目で効果を発揮するといわれており、その他のお薬は1~2週間程度はかかります。
「飲んだからすぐに効く!」というお薬ではないということをしっかり覚えておきましょう。

飲み始めに吐き気や下痢?!

副作用の下痢

抗うつ剤は毎日飲むことで効果を実感するタイプのお薬ではありますが、飲み始めに吐き気や下痢の副作用を生じる薬でもあります。

なぜ飲み始めに効果ではなく副作用を先に生じてしまうのでしょうか?

理由は、セロトニンが関係しています。
幸せホルモンであるセロトニンは脳内にしかない、と勘違いされがちですが実はその90%は人間の胃に存在しています。
そう、胃です。
意外ですよね。
私も医学勉強をしていた時は、衝撃すぎて先生に二度同じ質問をした経験があります。
先入観というものは怖いものです。

脳内にあるセロトニンは数%なので、ストレスが過度にかかると量が足りなくなり落ち込みがちになるわけなのです。
胃にあるセロトニンを分けてほしいですよね。

胃はお薬によって増やされたセロトニンを「え!いらないよ!」と判断してしまい、そのまま体外へと排泄しようとします。
その時に起きるのが吐き気や下痢といった副作用なのです。
セロトニンの量が足りない状況であるということを身体が認識しておらず、毎日飲むことできちんと必要なものであると再認識させる必要があります。

だから抗うつ剤は毎日飲む必要があるのです。
もちろん吐き気や下痢といった副作用があまりにも酷い場合は、処方を判断した医師と相談して、切り替えてもらうという手法もあります。

頓服する薬はどんな薬?

頓服薬

抗うつ剤は基本的に毎日飲むお薬ですが、頓服するといったお薬はどのようなものがあるのでしょうか?

皆さんが普段から使用しているであろう、市販薬も頓服です。
イブやバファリン、ロキソニンといったものや、ジキニンやコンタック、パブロンといったお薬も症状が出始めてから飲みますよね。
病院処方の風邪薬で有名なカロナールという解熱剤も、39度以上出たら飲むという服用方法です。

精神系で有名なのは抗不安剤です。
抗不安剤は、たとえば電車や飛行機、船、新幹線、バスといった特定の乗り物に乗る際に不安症状が出る場合は、その場面に出くわした時だけ飲みます。
もちろん乗り物だけでなくイライラや悲しい気持ち、不安感がピークに達しそうな時に服用するケースも。
理由は、抗不安剤は抗うつ剤よりも即効性に期待が持てるからです。

抗うつう剤は効果を実感するまでに時間がかかるため即効性は望めませんが、抗不安剤はある特定の場面に適応できるように作られているので比較的即効性があるといえるのです。

また、睡眠薬も不眠症状がある時に飲むお薬。
医者によっては「毎日飲んで集中的に治療」という手法をとる場合もあるようですね。
しかし、一般論で言うと睡眠薬も頓服薬であって、内服ではありません。
どちらが良いかは患者と医者による判断によりけりということです。

抗うつ剤は一生飲み続けるのか?

抗うつ剤はいつまで

抗うつ剤は一生飲み続けなければならないのか?
うつ病は抗うつ剤で治るのか?
といった不安を抱えている人は大勢いるはずです。

実は、抗うつ剤はうつ病を根本治療する薬ではなく、症状を改善するお薬なんです。
いつも落ち込んでいる状態から、普段通りの状態へと引き戻すお薬といった感じでしょうか。
首が下へと垂れている状態(落ち込み)から、まっすぐ前を向いている状態(平常)へ戻すという表現が想像つきやすいかもしれません。
気分をあげる薬でも、根本治療をするお薬ではないということですね。

抗うつ剤は基本的に1~2週間目は、症状を見ながら少量でスタートします。
それから身体に合っていると判断した場合は、そのまま半年から1年ほど服用を継続。
必要であると判断された人はずっと処方してもらっているケースもあります。
内服による治療がうまくいけば、医師による判断で「もう飲まなくて大丈夫だね」とお墨付きを得て、初めて治療が終了します。

もちろん1年たった後も症状が続いているようであれば、そのまま服用を続けなければなりません。
抗うつ剤を服用する際は、医師による判断にきちんと従って飲み続けていきましょう。