健康な人が抗うつ剤を飲むとどうなるの?

健康な人が抗うつ剤を飲むとどうなるの?

第1回~第9回まではうつ病患者に処方される、抗うつ剤について詳しく紹介してきました。
9回目では、うつ病とはまた違う双極性障害についても触れましたね。

健康な人でも、うつ病とまではいかないけれど精神的に滅入ってしまうことってありますよね。そのような場合でも抗うつ剤を服用してもいいのでしょうか?

抗うつ剤は気分の落ち込みを感じた場合に飲んでもいいのお薬なのか?

と興味を持っている人もいるはずです。

今回は、健康な人が抗うつ剤を服用するとどうなるのか?についてお伝えしていきます。

健康な人が抗うつ剤を飲んでも効果は期待できない?

抗うつ剤と健康な人

結論から言ってしまうと、健康な人が抗うつ剤を服用してはいけません。
お薬というものは、当たり前ですが特定の病状を改善するために処方される医薬品です。
健康な人向けの製造されておらず、身体の状況を健康以上に引き上げるものでもありません。
もちろん、健康な人が抗うつ剤を服用したとしても効果は期待できません。

うつ病というのは、時間では解決できない落ち込み状態をずっと抱えている状態です。
これは第1回で紹介した内容の復習にもなりますが、時間経過やリフレッシュ行為によって解決できる落ち込みとうつ病による落ち込みは違います。

しかし、抗うつ剤は幸せホルモンと呼ばれるセロトニン、ストレスに負けないように働くノルアドレナリンといった物質に働くため、健康な人にも効果は得られそうですよね。
なぜ、効果を発揮してくれないのでしょうか?

それは、分泌が促進されたとしても元気になるということではないからです。
たくさんあればあるほど多幸感が増したり、やる気に満ち溢れるというわけではないということですね。
仮に健常者が抗うつ剤を飲んだとしても、セロトニンやノルアドレナリンの量は足りているため何も起きないのです。

抗うつ剤を飲むことによる危険性は?

抗うつ剤危険性

健康な人が抗うつ剤を飲んでも効果は期待できないということは、副作用を生じたり、身体へと危険なことは起こらないということと思っていませんか?
実は、そうとも言い切れないのです。

健康な人が抗うつ剤を飲んでも効果は得られませんが、急に異常な眠気を感じたり、セロトニン症候群を発症したりするリスクを誘発する可能性は十分にあります。

異常な眠気を感じるのは、もともと抗うつ剤というお薬が眠くなりやすいという特徴があるからだといえます。
ここで注意しておきたいのは、ただ単に眠くなる程度ではなく異常な眠気だということ。
運転中や移動中、仕事中、まだ未熟な子どもの育児中に眠ってしまったら大変なことを引き起こす可能性は十分にあるのですよ。

セロトニン症候群は、発生頻度が不明の重篤な副作用です。
うつ病の人が飲んでいてもめったに生じる副作用ではありませんが、注意した方が良いと言えます。
セロトニン濃度が脳内で過剰になると、異常発汗や緊張、心拍数の増加、混乱、昏睡、緊張と緩和の繰り返しといった症状が現れ始めます。

抗うつ剤はキャンディー?アメリカの闇

アメリカの闇

ここからは少し方向転換をして、世界の抗うつ剤事情に目を向けてみましょう。
各国の中でも処方数が多いアメリカと抗うつ剤についてです。

日本の精神科や心療内科に従事している医者は、この患者に抗うつ剤が必要かどうかを慎重に話を聞きながら判断をします。
うつ病というのは目に見えて分かる病気ではなく、患者の話を聞きながらではないと診断できないからです。
そのため、軽度のうつ病である可能性があった場合でも、まずは自然療法を推奨しています。
抗うつ剤は長期で服用すればするほど、うつ病の再発率が高いといわれているためでもあります。
そのため、うつ病ではなさそうな人、健康そうな人に処方をするのはもってのほかなのです。

しかし、アメリカでは少々事情が違うのを知っていますか?

アメリカでは、抗うつ剤=気軽に飲める医薬品という認識が強く、今や10人に1人が服用しているといわれています。
日本では抗うつ剤を服用する人は、相当滅入っている人であるというイメージがありますよね。
しかし、アメリカ国民は抗うつ剤を服用している=気分を少しあげるために飲めるキャンディーくらいの認識のほうが強いといわれているのです。

もちろんこれには簡単に抗うつ剤を処方している医師側にも問題があるといえます。
「臨床精神医学誌」という医学誌の最新号では、アメリカでは抗うつ剤の処方が増えすぎていると指摘しており、あの有名なNY TIMES紙でも抗うつ剤服用者は3,000人超えと訴えています。
臨床精神医学誌の分析によると、アメリカ国民で抗うつ剤を服用している人の69%は、うつ病と診断されてはいない人であると結論に至ったようです。

各国による考え方の違いも関係しているのかもしれませんが、安易に処方をしてしまうのもいかがなものかと疑問も残ってしまいますね。