抗うつ剤の離脱症状とは?依存する可能性について
- 2021.10.18
- 抗うつ剤

抗うつ剤は急に内服を中止すると離脱症状が発現するお薬です。
離脱症状と聞くと、「なにやら危ない薬を飲んでいる人のこと」と思うかもしれません。
しかし、離脱症状は抗うつ剤だけでなく睡眠薬や抗不安剤でも見受けられる、ごく一般的な症状なんです。
もっと身近なもので例えるなら、タバコやアルコール等といった嗜好品です。
タバコを毎日のように吸っている、あるいはアルコールを毎日飲んでいる人が急にある日を境に吸わなくなったり飲んだりしなくなったりするとイライラする人もいるはず。
あの状況と似ています。
禁断症状という単語のほうが聞き馴染みがあるのではないでしょうか。
本記事では、抗うつ剤の離脱症状の例やその対処法について詳しく紹介していきます。
これから抗うつ剤を飲み始める人、また処方してもらおうとしている人は離脱症状について確認しておきましょう。
離脱症状=依存、病気の再発ではない?
先に誤解を解いておきたいのですが、離脱症状=うつ病の再発、依存が始まったとは言い切れないということです。
そのため
再発してしまった
薬に依存してしまった
と自分を責めてはいけません。
離脱症状はごく一般的に、誰にでも起こり得る症状です。
薬の服用を中断したい、もう薬は必要ないと感じている時は、自己判断で勝手に内服を中断するのではなく必ず主治医と相談しましょう。
また、依存と離脱症状は意味合いが異なります。
離脱症状は時間経過とともに解決していきますが、依存はどんどん薬への効果が薄れているように感じ「足りない」「あの薬がないとダメだ」と自己暗示をかけてしまっている状態です。
もっと欲しいと感じるのも依存している状態で、自分自身ではコントロールができない状況
といえます。
抗うつ剤で離脱症状が起きる理由
抗うつ剤は、セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンといった物質に作用して症状を改善します。
内服中の身体は、このような物質がお薬の力で分泌される前提で体調を整えているので、急に断薬したり、減薬したりすると「足りないよ!」という状態になり体調が狂い始めるのです。
たとえば三環系抗うつ剤では抗コリン作用が関係していると考えられており、抑え込まれていたアセチルコリンが解放され活動が活発になるからといわれています。
SSRIでは、セロトニンの多い状況に身体が慣れ過ぎてしまい、セロトニンの分泌が少なくなるとパニック状態になり離脱症状を引き起こすと考えられています。
あいまいな言い方をしているのは、どのように体調が崩れてゆくのかが明確に判明していないからです。
よくある離脱症状は?
抗うつ剤は身体と精神の両方で離脱症状を生じます。
身体症状と精神症状で違いがあるので、チェックしてみましょう。
☆身体症状
めまい、頭痛、吐き気、だるさ、しびれ、耳鳴り
☆精神症状
イライラ、不安、不眠、ソワソワ感
抗うつ剤の離脱症状の中でも、シャンビリ感というものが有名です。
特にSSRIのレクサプロやジェイゾロフト、パキシル、デプロメールでよく見受けられている離脱症状ですね。
金属音のようなシャンシャンしたような耳鳴りが始まり、電気が流れたようにビリビリとした痺れを感じる場合があります。
離脱症状が起きやすい人は、長期服用や薬の代謝能力が高い人です。
抗うつ剤は長期服用を効果を発揮しますが、長期になればなるほどいざ減薬や断薬をしようとすると離脱症状を引き起こすというなんとも皮肉な事態を引き起こします。
また、薬の代謝能力が高い人はその分身体にお薬の成分が滞留している時間が短く、薬の変化が急激となり離脱症状が起きやすいといわれています。
離脱症状を解決する4つの対策法
抗うつ剤の離脱症状を解決したい場合は、4つの対策方法にトライしてみましょう。
・元の量に戻す
・減量ペースをゆるやかにする
・薬を分けて服用する
大事なのは「明日からもう飲まない!」と自己判断しない、ということです。
抗うつ剤は少量からスタートして、その人の症状に合わせて増量していきます。
減薬する時も同じように、症状を見ながらゆっくりと成分量を調整しつつ減薬していきましょう。
減薬や断薬をしたい場合は、必ず主治医と相談をして、自分の身体に合っている量を見つけながらトライしていきましょう。
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