双極性障害と躁うつ病の違いは?抗うつ剤は効くの?
- 2021.12.25
- 抗うつ剤

うつ病と検索をすると、同時に躁うつ病や双極性障害といった文言をみかけますよね。
実はこの躁うつ病や双極性障害は、呼び名が違うだけでまったく同じ病気を指しているんです。
躁うつ病=一般名(これまでの名称)
というわけ。
違いは名称だけで、指している病気は同じです。
では、通常のうつ病と双極性障害は一体何が違うのでしょうか?
また、治療薬も同じく抗うつ剤を使用すれば解決する病気なのかといった疑問がある人のため、本記事では双極性障害について詳しく紹介していきます。
双極性障害(躁うつ病)とは?
双極性障害は、世界的にみると100人に1人が発症する可能性があるといわる精神疾患です。
現代の日本では500人に1人です。
最も自殺リスクや再発率が高く、生涯にわたって再発をさせない予防療法を必要であるといわれています。
躁(ハイテンション)状態とうつ(落ち込み)状態を日常生活の中で繰り返していきます。
双極Ⅰ型と双極Ⅱ型があります。
双極Ⅱ型は、軽くテンションが上がる軽躁状態と落ち込み状態をいったりきたりを繰り返していきます。
躁状態とは、気分が異常に高まって誰にでも話しかけたり、睡眠を必要とせず動き回ったりと非常に活動的になる状態を指しています。
一見体調が良さそうに見えますが、人によっては些細なことでキレてしまい、人間関係でのトラブルを引き起こす、ギャンブルに全財産をつぎ込む、高額ローンを契約するケース等といったケースも。
そのため、社会的信用や財産を無くしかねない病気ともいわれているのです。
発症するのに性差はないといわれていますが、研究はまだまだ不十分でありハッキリとした材料が不足しているのが現状です。
また、年代でも20代後半~30代前後に発症する場合が多いといわれていますが、こちらも一概には言えず、中学生で発症している人もいれば老年期に症状が出る人もいます。
うつ病との違いは「躁」があるかないか
うつ病との違いは、躁状態、つまり異常にハイテンションになる症状があるかないかになります。
うつ病の人はずっと落ち込んでいる状態ですが、双極性障害の人はテンションが高揚する場合もあるのです。
「双極性である」と自覚のない人が圧倒的に多い
「うつ病かもしれない」と受診を申し出た人の中の、約16パーセントは双極性障害だったという調査結果が出ているのを知っていますか?
うつ病患者は、自分自身が「うつ病である」と自覚できていない人が多いというのは有名な話ですよね。
実は、これは双極性障害患者にも当てはまることなんですよ。
特に躁状態があるため、「自分は元気だから!」「活発的 な自分が普通」と勘違いしがちなんです。
落ち込んでいる状態の時に医師へと相談するケースが圧倒的に多いため、医者でも判断が非常にしにくい病気でもあります。
実際、私が診察した患者さんの言うことに反論しようものなら診察室で暴れ出す人がいました。
明らかに前回と違う活気に満ちた様子だったので、別のお薬へと変更したのを覚えています。
この患者さんが暴れるほど短気になっているのも、躁状態の特徴といえます。
躁状態の時は、活動的になる、社交的になるといった症状の他にも、イライラしやすくなったり些細なことでキレてしまったりということがあります。
そのため、前回診察した時とまったく様子が違うという風になるケースが生じるわけなんですねえ。
あなたは双極性障害?ミニチェックシート
「もしかして自分は双極性障害?」と不安な方は双極性障害かどうかを確認するために、簡単なミニチェックシートに回答してみましょう。
※判断しにくい場合は家族や知人に過去の自分の様子を聞いてみましょう。
設問1~3はチェックシートの一部を掲載しています。
その他にも躁症状に心当たりがある人は、発症している可能性があります。
精神科や心療内科で専門医に「双極性障害かもしれない」と相談してみましょう。
双極性障害の治療薬は抗うつ剤ではない
双極性障害の治療薬は、SSRIやSNRIといった抗うつ剤ではなく、気分安定薬や非定型抗精神病薬の2種類です。
気分安定薬は、その名の通り躁状態とうつ状態の上がり下がりをさせないようにする予防薬です。
非定型抗精神病薬は、激しい躁状態を改善するお薬。
症状が安定している期間と、躁状態とうつ状態を繰り返している時では治療法が異なるので、医師でもコントロールが難しい病気です。
カウンセリングだけでは解決しないので、治療をスタートする際にはきちんと医師の指示に従いましょう。
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